祭りとは、神のあらわれるのを待ち、その神威に服することだ。と論じた学者がいたことを、このアレンジに出逢って思い出す。
今回の多花彩々は十五品種。うち六品種が実である。ナシ、ヒペリカム、シャクヤク、スグリ、ブラックベリー、ユシンギの果実が、豊穣の秋を饒舌に語っている。実が地を彩り、花が中空を舞い、蔓が天に昇る小宇宙。実を付け、種を残し、新しい時節の誕生を待つという、幾億年も繰り返され続けてきた自然界の摂理が生み出す未来への期待感が、静かに凝縮されている。
色とりどりの植物を抱き止めるのは硝子の器である。食卓を凛と飾り立て、草花たちを旬の前菜のように見立てる。その様子は、まさに収穫祭に捧げられる供え物だ。
フラワーアレンジメントとは、誤解を恐れずにいえば、自然の美しさを再現し、そこに深い感動を創り出すこと。その繊細にして大胆な行為が孤高の領域に近づくほど、花々は神と向き合うことができ、芸術と対座することができるのであろう。
三井不動産グループの資産経営情報誌『Let's Plaza 2011年9月号』 より抜粋
1999年第一園芸入社 フォーシーズンズホテル等のデザイン担当を経て、2004年からダニエル・オストエキシビション(仁和寺プロジェクト/東寺プロジェクト等)の中核的役割を担う。
オスト氏にその才能を認められ、2006年よりオスト氏のもとで各国メゾンの新作発表会や著名人のパーティ、イベントなどに携わる。
2008年9月から本店チーフデザイナー。








